最終更新日:2018年11月23日
孔子の『論語』の中から、ビジネスに使える言葉を抜粋して紹介します。
目次
- そもそも孔子ってどんな人?
- 「人のおのれを知らざるをうれえず。人を知らざるをうれう。」
- 「質、文に勝てばすなわち野なり。文、質にかてばすなわち史なり」
- 「君子は和して同せず。小人は同して和せず」
- 「性あい近し。習あい通し」
- 「これを知るを知るとなし、知らざるを知らずとなす。これ知るなり」
そもそも孔子ってどんな人?
そもそも孔子とはどんな人なのでしょうか?
孔子は前551年、中国の魯の国(現在の山東省)で生まれました。
(誕生年については諸説あり)
時代的には殷・周・春秋戦国・秦・漢……のうちの春秋時代。
周が滅んで各国の強者達が国を乱立させまくった群雄割拠の時代。
日本でいう戦国時代みたいなものですね。
ちなみに日本はまだ縄文時代、狩猟採集をしていた頃です。
孔子が生まれた際、父は何と67,8歳。
孔子が生まれた3年後に亡くなっています。
母はなんと15歳!こちらも孔子が17歳の時に亡くなっています。
女手一つ、貧しい家庭で育てられた孔子は学問の大切さを知ります。
母は巫女で葬儀や儀礼についての知識が深く、孔子はそれを見様見真似で覚えます。
それが認められ10代の若さで小役人となり、19歳で結婚。
30代から徐々に名が知られるようになり、諸国の王に仕えるようになりました。
この頃から弟子も増え始めます。
50代で生まれ故郷の魯の王に仕え、当時は貴族しかなれなかった司法警察長官にまで昇り詰めます。
その後、地方貴族の反乱鎮圧に失敗し失脚、14年ほど諸国を亡命。
69歳でようやく魯の国に戻り王の相談役となります。
その後、一人息子や後継者候補に先立たれるなど痛ましい事件はあったものの、『易経』『春秋』などの大書を編纂し、そして74歳、病気でその生涯を閉じます。
孔子が作った思想は儒教と呼ばれ、武力により国を治めるのではなく徳によって国を治めるべきと説いています。
孔子が政治を行っていた魯の国では、
・商売で不正を働くものがいなくなり、
・男女の風紀も保たれ、
・道に落し物があっても拾って自分のものにするものもいない、
という状況で、かなりの善政が広められていました。
『論語』は孔子が亡くなった後に、弟子たちが彼の言葉を集めて記録したものです。
そこには孔子の思想の根源である徳が随所にちりばめられており、現代の我々の心にも響くものが多くあります。
そんな孔子の言葉から、ビジネスにも応用できそうなものをここからは紹介していきたいと思います。
「人のおのれを知らざるをうれえず。人を知らざるをうれう。」
"自分が他人に評価されないのを気にしてはいけない。
それよりも、自分がちゃんと他人の真価を見極められているか、他人の良いところを見過ごしていないか、そちらを気にするべきである。"
仕事をしていてもなかなか評価してもらえないと嘆いている方。
その前に自分はちゃんと他人の仕事を正当に評価できているか、他人の仕事を認めているか考えてみましょう。
他人の仕事を評価していないのに、自分だけ評価してもらおうなんてそんな虫のいい話はないですよね。
理解してから理解される
『7つの習慣-成功には原則があった!』(スティーブン・R. コヴィー, キングベアー出版)
このように多くのビジネス書でも、まずは相手を正当に評価することが先だと説いています。
2500年も前の時代を生きた孔子が、今の世のビジネス書と同じことを言っているというのは本当に驚きですね!
ビジネス書の方が孔子の言葉から拝借したのかも知れませんが(笑)
「質、文に勝てばすなわち野なり。文、質にかてばすなわち史なり」
"質とは誠実な心構え、性格のこと。
文とは教養のこと。
性格が良くても常に勉強しなければ野人と同じであり、いくら勉強しても心が冷たければお役所仕事の役人と一緒である。
心を豊かにしてかつ勉強することが重要である。"
ビジネスにおいても、過去の成績は良かった上司が現在の変化が激しい状況を考えずに自分の経験則ばかりを部下に押し付けてくる。
また本をたくさん読んだり資格をとったりと勉強はしているけど、実際の仕事にはそれを活かさず勉強するだけで満足してしまっていたり、得た知識をひけらかすだけで終わってしまう。
そんな人あなたの周りにもいると思います。
我々は常に勉強をし続けながらも、学んだことを社会にアウトプットし心も豊かに育て続けていく必要があります。
「君子は和して同せず。小人は同して和せず」
"小人は自分の考えを持たず他人の考えに同調する。
そのくせ、不利になると他人と協調せずに自分の利益を守ることだけに必死になる。
君子は自分の考えをしっかり持っており、周りの意見に流されない。
しかし一度決めたことはしっかりと守り、不利な状況になっても協調性を大事にする。"
会社でも自分の考えも持たずに人に言われたことだけをやり、いざそれが失敗すると他人のせいにする。
そういう人はたくさんいると思います。
私達は自ら考え確固たる意志を持ち、場合によっては一人反対意見を唱えることもいとわず、しかし一度決められたことは例え自分の意見と違ったとしても円滑に進むよう最大限に貢献する。
そういう心構えが必要です。
「性あい近し。習あい通し」
"性とはもって生まれた能力、習は学習して得た能力。
生まれた時は人の能力の差はそこまで無いが、その後の学習によって能力に大きな差が生まれる。"
新人のうちは同期と能力の差はほとんど無かったはずなのに、時が経つと成果も出世も給料も差が出てしまう。
この差はなんでしょうか?
できる社会人は例外なく勉強し続けています。
本からでもいいですし、失敗からでもいい、先輩からでもいい。
現状に妥協して成長を放棄した人と勉強をし続けた人では、数年で大きな差となってあらわれます。
我々はとにかく勉強し続ける必要があるのです。
「これを知るを知るとなし、知らざるを知らずとなす。これ知るなり」
"自分の知っていることは知っているとし、知らないことは知らないとはっきり認める。
これこそ知るということである"
ギリシャの哲学者ソクラテスの「無知の知」と同じ意味ですね。
自分は全て知ったつもりになって勉強を怠っていませんか?
過去の栄光にしがみつき、自分はできているからと新しいことを全然勉強せず教え方も学ばない上司、あなたの周りにもたくさんいると思います。
あなたは絶対にそうなってはいけません!
自分の知らないことをはっきりと認識し常に勉強し続ければ、いつかきっと大いなる成果が得られることでしょう!
皆さんの心にぐっときた言葉はありましたか?
私は「君子は和して同せず。小人は同して和せず」という言葉が好きです。
『論語』にはこれ以外にも良い言葉がたくさん紹介されていますので、是非あなたの座右の銘となりうる言葉を探してみてください!
以下参考にした本です。