最終更新日:2018年11月23日
「名プレイヤーは名監督にあらず」という言葉があるように、成績が良いプレイヤーが管理職になってもそのチームの成果が上がるとは限りません。
それもそのはず、プレイヤーと管理職では全く違う能力が求められます。
管理職はそれを理解した上で、今までは自分が頑張れば良かっただけの状態から、チーム全体の成果があがるような行動をしていかなければならないのです。
今回私が紹介するのは、そんな良いチームを作るための方法が書かれた『成果を生み出す組織の条件: 実践!チームマネジメント研修②』です!
目次
どんな人向け?
この本はズバリ管理職の方に向けて書かれた本です。
・チーム全体の活気がない
・部下のやる気を引き出せない
・チームの数字が達成できない
これらの状況を改善したい!と思っている方に読んで欲しい本なのです。
管理職向けではありますが、新人・中堅・経営者にもためになる情報がたくさん載っています。
特に後半の社員を5段階にレベル分けして説明するところなどは、自分が一体どのレベルにいるのか、どうすれば次のレベルにいけるのか、参考になると思いますよ!
どんな内容なの?
この本は実際に行われている研修をもとに半小説形式で書かれています。
あなたは受講者の一人になりきって、講師から説明を受けることができます。
研修なので一方的に教えられるだけでなく実技やディスカッションがあり、登場人物になりきることでそれに参加している気になり、自ら「なるほど!」と気付きを得ることができるようになっています。
さてこの本ですが、良いチームを作るための方法が大きく分けて3つ書いてあります。
(1)良好なコミュニケーション環境を作る
(2)正しいPDCAサイクルを回す
(3)部下のレベルにあった育て方をする
順番に説明していきたいと思います。
(1)良好なコミュニケーション環境を作る
そんなの当たり前じゃん!と思われましたでしょうか?
そんなんです。
当たり前ですよね。
でも「コミュニケーションが上手くとれるチームはなぜ良いのか」説明できますか?
難しいですよね、私もできませんでした。
コミュニケーションが上手くとれるチームが成果を出せる理由は2つあります。
一つ、コミュニケーション・ロスがないこと
部下が上司の言ったことに対して「はい」としか言えない組織があったとしましょう。
上司は部下にこれをやって欲しいと伝えますが、それ、本当に部下に伝わったかどうかわかりますか?
わからないですよね。
逆に部下はわからないことがあっても上司に聞き返せない。
聞き返せないから見当外れのことをやってしまうか、逆にあらゆるパターンを想定して過剰に仕事をしてしまう。
コミュニケーションが取れているチームは、部下が上司の指示に対しちゃんと理解するまで会話のキャッチボールができます。
そのため不足も過剰もない、適切な仕事をすることができるのです。
二つ目は、部下が自責で動けること
上司の指示通り動く部下は、失敗しても、
「上司の言われた通りにやったけどできなかった」
「自分じゃなくて上司の指示の仕方が悪い」
と他責になりがちです。
コミュニケーションが取れているチームは違います。
部下は自分の意見を伝えることができ、時にそれが採用されます。
意見が採用されれば部下はやる気が出ますし、何より仕事を自分のものとして取り組む=自責の姿勢になります。
自責であれば自分の頭で考え主体的に動くようになる。
これがチームとしての成果に繋がっていくのです!
(2)正しいPDCAを回す
PDCA、よく聞く言葉ですよね。
・Plan 計画
・Do 実行
・Check 検証
・Action 改善
これらの頭文字をとったものです。
計画して実行してみて、結果を検証して改善して、また計画して実行して……
を繰り返していく作業になります。
このPDCA、成果を出すには特に大事だと言われていますが、実際にやっているチームはどのくらいあるのでしょうか?
あなたのチームはどうですか?
だいたい全体の半分くらいでしょうか?
答えは、
「だいたいどこの会社でも、PDCAが回っている課って3割くらいなんです。」引用元『成果を生み出す組織の条件: 実践!チームマネジメント研修②』
(坂本 健, 株式会社ポテンシャル・ディスカバリー・コンサルティング)
そうなんです。
だいたいどこのチームでも、PとD、計画を立てて実行するくらいしかやっていない。
いやそれどころかPだけ、良い計画を立てようと時間をかけて、実行までいかないチームもかなり多い。
では何故PDCAをうまく回せないのでしょうか?
実はPDCAを回す順番は、P→D→C→Aじゃないんです。
達成すべき事柄によって、2種類を使い分ける必要があるのです。
一つ、前例がある・やったことがある事柄はCAPDで回す。
例えばあなたのルーチンワークをPDCAで良くしようと思った場合、いきなり計画を立てるのではなく、まずCで自分の仕事のどこが良いか、どこが悪いか分析します。
分析をもとに良いところを伸ばし悪いところを減らす改善策を立てて、それを元に計画を作り実行してみる。
そして実行し結果を分析して(時短になったか、効率化できたか)、再度改善策を作って計画に落とし込み実行していく……
このように計画から入らずに、まず現状を分析して改善策を立てるところから始めるのです。
二つ目は、やってみないとわからないことはDCAPで回す。
世の中結構これが多いと思います。
新製品が出て売ってこいって言われても、どうすればいいかわからないですよね。
どうすればいいかわからないからいつまで経っても実行に移せない。
やってみないとわからないことはとりあえずやってみる!
そこから得られた結果や情報を分析してみることで改善策を立て、その後あらためて計画を作るのです。
良いチームはとにかくこれをやっている。
チーム全員が、とりあえずやってみるのです。
しかもメンバー全員が、
「あえてやり方を統一しない」引用元『成果を生み出す組織の条件: 実践!チームマネジメント研修②』
(坂本 健, 株式会社ポテンシャル・ディスカバリー・コンサルティング)
まずは各自がそれぞれの方法でやってみて、その後結果を持ち寄って共有し、分析して良い計画を立案する。
良好なコミュニケーション環境を持つチームが正しいDCPAを回す。
これによりスピーディにより高い成果を出すことができるのです!
(3)部下のレベルにあった育て方をする
管理職で難しいのは何と言ってもここでしょう。
人を育てるのは、自分を育てるよりも何百倍も難しい。
この本の中では社員のレベルを次の5段階に分けています。
レベル1:誰かの指示がなければ成果を出せない
レベル2:平常時なら自力で成果が出せる
レベル3:問題や異常があっても成果が出せる
レベル4:成果の限界や基準を引き上げる
レベル5:誰も想定しなかった成果を出せる引用元『成果を生み出す組織の条件: 実践!チームマネジメント研修②』
(坂本 健, 株式会社ポテンシャル・ディスカバリー・コンサルティング)
皆さんは今どのレベルにいますか?
レベル3でしょうか?
それともレベル4?
レベル5はまずいないと考えても良いでしょう。
ちなみにこの本によると、管理職でもレベル4の人は4~5人に1人だそうです。
すなわち、今までの実績通りの成果はあげられるけど、それ以上の結果を出せる人はほとんどいないということですね。
良いチームの管理職は、部下のレベルにあった指導を行いチーム全体のレベルを引き上げていきます。
【レベル1→レベル2:やり方を教える】
レベル1の部下はそもそも仕事に対する知識が足りません。
まずは仕事のやり方そのものと、そして何故これをやるのか、という基本的なことを教えていきましょう。
【レベル2→レベル3:どう仕事をするのか考えさせる】
レベル2の部下は普通の仕事なら自力でこなせますが、何か問題が起きた時は上手く対処できません。
レベル2の部下には、上司が一方的に教えることはもはや必要ありません。
「○○君はどうやったら解決できると思う?」
「○○さんならどうする?」
と適切な質問を行い、部下に考えさせるのです。
これにより部下は自らの頭での考え、自らで問題解決する能力を身に着けていくのです。
【レベル3→レベル4:モチベーションを高める】
レベル3からレベル4は難しい!
レベル4の社員は今まで限界だと思われていた成果基準を超える仕事をします。
すなわち管理職の過去の実績すら超えてもらわないといけない訳で、これは管理職がどうこう言ってできるものではありません。
レベル4にするには部下の価値観を理解して、その価値観に沿った仕事を与え、モチベーションを高めていくしかありません。
むしろ注意しなければいけないのは、自分がレベル3の管理職であった時。
レベル4に上がろうとしている部下に「それは無謀だ」「そんなの前例がない!」という態度で接すると、成長を妨げてしまうことになります。
部下のモチベーションを高め、あとは部下の力を信じる、これがレベル4に引き上げる方法なのです。
【レベル4→レベル5:?】
レベル5の社員は誰も想定しなかった成果が出せる。
会社や業界、もっと言えば国、世界に変革をもたらすことができる社員です。
もはや社員というより経営者に近い。
スティーブ・ジョブズやAmazonのCEO:ジェフ・ベゾス、FacebookのCEO:マーク・ザッカーバーグ、彼らがレベル5に当たります。
レベル5に部下を育てる方法は……はい、当然ながら不明です(笑)
高いモチベーション、高い能力、強い自信、そして世界を変えてやろうという強い意志を持った者だけがレベル5の社員になれるのでしょう。
管理職の方は部下がレベル1からレベル5のどこにいるかしっかり把握しましょう。
そしてそれにあった指導を行うことで部下のレベルを引き上げることにより、チームをより良いものに成長させていくのです。
総評
このように『成果を生み出す組織の条件: 実践!チームマネジメント研修②』は、良いチームを作るための方法が、半小説形式でわかりやすく紹介されています。
実際の研修内容を元にしているので、まるで自分が受講者の一人になったかのように楽しく学ぶことができ、かつ頭に入ってきやすいのです。
管理職の皆様、是非この本を読んで、
(1)良好なコミュニケーション環境を作る
(2)正しいPDCAを回す
(3)部下のレベルにあった育て方をする
を実施し、成果の出る良いチームを作ってみませんか?